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1月の水あび「『からだ』のメディア論―錯覚と虚構から探るフシギな世界」レポート

 1月の水あび「『からだ』のメディア論―錯覚と虚構から探るフシギな世界」が2024年1月20日(土)、愛知県豊橋市の大豊商店街にある「みずのうえ文化センター」で行われました。講師である「からだの錯覚」の研究者、小鷹研理さんが「頭の中にある情報としての”からだ”」をキーワードに、頭の中の認識と体の感覚のズレを体感するワークショップとトークで会場を不思議な世界へと誘いました。

 

 このイベントは、豊橋市こども未来館ここにこで開催していた「からだの錯覚の研究室展」(2024年1月20日、21日開催)の連携企画です。

 名古屋市立大学芸術工学研究科准教授である小鷹さんは「からだの錯覚」を通じて、ミニマルセルフに深く干渉する体験を志向する小鷹研究室asを主宰。「からだは戦場だよ」「注文の多いからだの錯覚の研究室展」など多数の体験型展示を独自に企画しています。

 この日はまず、「頭すっぽん新感覚」を紹介。この体験型展示は、身体から頭部のみが「すぽん」と離れる感覚を味わうことのできるゴーグル型ディスプレイを使ったVR体験装置です。会場では、簡易的に体験できる表彰状を入れておく筒を使った実験をしました。参加者は、目を閉じながら蓋をスポンと抜きます。小鷹さんは「ちょっと想像力が必要ですが、要は、予感が大事です。こういう微妙な感覚というのは、 その奥に、すごいフロンティアがあります。蓋を取った瞬間に、自分の首がちょっと抜けたんじゃないかっていうことが想像できる」と話します。

 続いての体験は耳たぶが伸びたように感じる「ブッダの耳錯覚」。参加者の中から代表者1人に対して、小鷹さんが体全体を巧みに使いながら錯覚を作り出します。参加者は「伸びてますね。マジで。伸びます。困ります」と困惑を隠せない様子。小鷹さんは「これはお気に入りです。なぜなら、道具が何もいらないから。ポイントは死角です。触ってるところが見えちゃったら、当然ダメ。触覚ポイントは見えないんだけど、伸ばされてる変形イメージの部分だけ視覚に入ってるんです」と説明します。

 次に「スライムハンド」と呼ばれる体の錯覚の実験。向かい合う2人の間には、スライムと1枚の鏡。この実験で人は鏡に映るスライムを自分の手と錯覚し、皮膚が極端に引き伸ばされる感覚が生まれることを体感していました。

 さまざまな実験で錯覚を体験したあとは、小鷹さんとこのイベントを主催したみずのうえ文化センター実行委員会長で舞台映像作家の山田晋平さんの2人でトークを通じて、「からだ」というメディアの奥深さに迫りました。