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8月の水あび「Wikipedia編集者になろう~とよはしでWikiGap~」レポート

 愛知県豊橋市の大豊商店街にある「みずのうえ文化センター」で2023年8月4日(金)夜、8月の水あび「Wikipedia(ウィキペディア)編集者になろう~とよはしでWikiGap~」が行われました。

講師に元ウィキペディア日本語版管理者の海獺(らっこ)さんを迎え、豊橋ゆかりの女性の偉人の情報を編集しながらジェンダー平等について考えるとともに、ネットリテラシーの向上など、情報との付き合い方を学びました。

 無料で誰もが自由に編集できるオンライン百科事典「ウィキペディア」は、現在300言語で展開しており、日本語版の記事数は138万あります。世界でのアクセスランキングはインスタグラムにつぐ6番目のサイトです。

 

 ウィキペディアは男性に比べて女性の人物記事が少ないという傾向があります。これは、編集者の8割が男性であることが理由であると考えられています。そこで重要な立場にいる女性に関係する情報をウィペディアに加えることで、緩やかながらもジェンダーギャップについて考える機会にしてもらおうと、2018年3月にスウェーデンからWikiGapは始まり、世界各地で行われています。

 この日、海獺さんはまず、日本語版にない女性に関する情報例を紹介。例えば、キャサリン皇太子妃のウエディングドレスをデザインしたイングランド人の女性デザイナーサラ・バートンや、2021年スーパーボールで史上初の女性審判となったサラ・トーマスは、日本語版のウィキペディアがないことを明かしました。その上で、WikiGapについては、「男女の性差別のついて考える機会でもあるが、シンプルに豊橋ゆかりの女性を知るきっかけにしてください」と参加者に呼びかけました。

 次に、編集における3大方針、①独自研究は載せない②中立的な観点③検証可能性ーについて説明。続いて、出典は「あなたがそれを見て、百科事典の知識として他の人に提供しても良いくらい信じられるもの」として、公刊された書籍や論文、新聞記事、雑誌を挙げました。一方、適していないものは、ブログやパンフレット、関係者から直接聞いた話などです。

 イベントに参加した男女約20人は早速、パソコンに向かってウィキペディア編集に挑戦。この日取り上げられた豊橋出身の女流歌人、林織江は、コンテンツ自体がそもそもなかったため、参加者が一から作っていきました。生年月日や性格、来歴などを入力。伊良湖(田原市)の漁師の長男として生まれ、のちに歌人として知られるようになった糟谷磯丸との出会いなどを、図書館で借りてきた書籍をもとに文章を作成していきました。

 また、東京オリンピック2020女子バスケットボールで銀メダルを獲得した馬瓜エブリンやヴァイオリン奏者の上里はな子ら、豊橋出身の女性たちは既存コンテンツはあるものの、出典がない部分も多く、情報の信頼性を担保するための重要な作業をしました。

 海獺さんは、今回のイベントのまとめとして、参加者は編集する上で情報の取捨選択をするので情報リテラシーが上がる▽図書館は普段あまり動かない地域資料が使ってもらえる▽主催者としても世代間交流や地域振興につながるーなどのメリットを説明しました。

 ウィキペディアの編集が、SDGs(持続可能な開発目標)における「質の高い教育をみんなに」につながることを伝えた上で、「紙の資料をデジタルデータとして入力していくことで残せる。女性の偉人の記録がないのはその当時、記録していた人が少なかったからとも言える。資料があるなら今のうちにデジタルに入れていきましょう」と話しました。